2025年6月、神奈川県に住む35歳の男性が、10代の元交際相手に「死んでくれる?」とLINEで脅迫メッセージを送ったとして逮捕されました。
事件が発覚したのは、被害女性が警察に「別れを告げた交際相手から嫌がらせを受けている」と相談したことがきっかけでした。
こうした「別れた恋人からの嫌がらせ」は、実は私たち探偵が日々相談を受けるなかでも、とても多いトラブルのひとつです。
なぜ別れただけで嫌がらせされなければならないのか?
一方的な怒りや執着、支配欲によって、被害者の生活が壊されていく様子を、当探偵事務所も何度も目にしてきました。
本コラムでは、探偵の立場から「この事件に見られる心理背景」や「被害を放置するリスク」、そして「どのように解決へ進むべきか」についてお話しします。
事件の概要|「死んでくれる?」LINEで男が逮捕された理由
元交際相手の女性に「死んでくれる?」などとLINEでメッセージを送ったなどとして17日、神奈川県横浜市に住む契約社員の男が島根県警に逮捕されました。
脅迫の容疑で逮捕されたのは、神奈川県横浜市南区に住む契約社員の男(35)です。
調べによりますと男は8日午後10時47分頃、元交際相手で島根県西部に住む女性(10代)に対し、「死んでくれる?」などとLINEでメッセージを送信して脅迫した疑いが持たれています。
11日、被害に遭った女性から「別れを告げた交際相手から嫌がらせを受けている」と警察相談があり、所要の捜査を行ったところ、男の犯行が明らかになったとして17日、島根県警の捜査員が横浜市内で男を逮捕しました。
調べに対し男は「死んでくれる?などとメッセージを送ったことは間違いありません」と容疑を認めています。
事件の経緯や詳しい動機などについて、警察が引き続き詳しく調べています。
出典:TBS NEWS DIG(2025年6月17日配信)
なぜ「別れた相手」から嫌がらせされるのか?
「別れを告げた途端、性格が変わったようにしつこく連絡してくる」
「最初は謝罪だったのに、拒否すると脅迫に変わった」
こうしたケースは、決して珍しくありません。
被害者の多くが口にするのは、
「なぜここまでされなければならないのか」という強い困惑と恐怖です。
実際、私たち探偵が関わってきた案件でも、“振られた側”の怒りや執着が暴走し、深刻な嫌がらせやストーカー行為へと発展したケースが多くあります。
ではなぜ、別れをきっかけに加害行為が始まるのでしょうか?
そこには、以下のような加害者側の心理が潜んでいます。
1.一方的な執着と依存
交際中に相手へ過度に依存していた場合、関係の終わりを受け入れられず、「どうしても手放せない」という執着が生まれます。
このタイプの加害者は、「別れ話=自分の存在の否定」と受け取り、
“どうにかして元に戻したい”という感情が暴走する傾向にあります。
2.自尊心の崩壊と逆恨み
「自分が捨てられた」という事実を受け入れられず、相手に怒りを向けるタイプも少なくありません。
「どうせお前は誰にでもそうやって裏切るんだ」
「自分をこんな気持ちにさせたお前が悪い」
このように、失恋によって傷ついた自尊心を守るために、被害者を攻撃対象にする心理が働きます。
3.支配欲の表出
交際中に「相手をコントロールしたい」という支配欲が強かった場合、別れによってその力を失ったことに強い不満を感じます。
「俺の許可なく離れていくなんて許せない」
「こっちはまだ終わっていないと思っているのに」
こうした発想から、再び支配下に置こうとする行動に出るのが特徴です。
これは、DV加害者によく見られる心理傾向でもあります。
4.無自覚な加害者
もっとも厄介なのが、自分のしていることを「嫌がらせ」と認識していないタイプです。
- 「気持ちを伝えるのは自由」
- 「謝りたいだけ」
- 「関係を取り戻したいから連絡するのは当然」
こうした“正当化”により、加害者自身に悪意がないケースもありますが、
結果として相手を追い詰め、恐怖に陥れているという点では、十分に犯罪に該当します。
「恋愛」はきっかけにすぎない
加害者の中には「これはただの恋愛感情だ」と主張する人もいます。
ですが、関係を終えたいと意思表示している相手に対して、連絡や干渉を続ける行為は、明確なハラスメントです。
一度終わった関係を、どちらか一方の気持ちで無理やり続けさせることはできません。
「恋人だったから、ある程度は仕方ない」
そう思い込んで我慢を続けると、被害は徐々に深刻化していきます。
放置すると危険!嫌がらせがエスカレートする具体例
「無視していれば、そのうち収まると思った」
「感情的になっているだけだから、落ち着くまで待とうと思った」
実際に被害に遭われた方の多くが、最初はこう考えてしまいます。
しかし現実には、「放置」がかえって加害者の怒りや執着を強め、より深刻な嫌がらせに発展する引き金になることが少なくありません。
私たち探偵がこれまで対応してきたケースでも、以下のような流れで被害がエスカレートしていく事例が多く報告されています。
ステップ1:メッセージ・通話の連続送信
最初は、LINEやSNSのDMで「話したい」「戻りたい」などと連絡が続きます。
ブロックすると、別アカウントを作成して再度接触してくることもあります。
ここで対応せず放置してしまうと、「無視された」と怒りが増幅し、暴言・脅迫・人格攻撃へと変化していきます。
ステップ2:SNSの監視・間接的な攻撃
-
投稿のたびに「見てるぞ」というようなスタンプや反応が届く
-
ストーリーに対して匿名質問やコメントが届く
-
共通の知人を通じて「悪口を言っていた」と誤情報を流される
この段階では、表面的には“直接的な接触ではない”ため、周囲が気づきにくいのが厄介です。
しかし被害者の心理的ストレスは、非常に大きくなっていきます。
ステップ3:居場所の特定・待ち伏せ・自宅周辺の出没
連絡が取れなくなると、次に加害者は「実際に会う」という行動に出ることがあります。
- 自宅や職場、学校の近くで待ち伏せする
- 夜間に家の前をうろつく
- 玄関やポストに置き手紙や贈り物を残す
これは明確なストーカー行為・つきまとい行為に該当し、命の危険すら伴います。
ステップ4:家族や職場を巻き込んだ嫌がらせ
次に始まるのが、「あなたの周囲」への攻撃です。
- ご家族に無言電話をかける
- 職場に「不倫している」などの虚偽情報を送る
- SNSで「実名+悪評」を拡散する
ここまでくると、被害者本人の社会生活そのものが脅かされるレベルになります。
嫌がらせは、放置するほど加害者の行動範囲が広がっていきます。
しかし、その過程には必ず「予兆」や「記録」が残されています。
私たち探偵は、その証拠を早期に収集し、被害を“可視化”することで、法的対応や加害者抑止につなげることができます。
「まさか自分が」「まだ我慢できる」と思っていても、
最初の違和感こそが、一番重要なサインです。
まずは相談することが解決への第一歩
別れた相手からの嫌がらせは、最初は「少し気味が悪い」「しつこいだけ」と感じる程度かもしれません。
しかし、私たちが実際に調査してきた現場では、その“違和感”が見逃され、時間の経過とともに深刻な被害へ発展したケースがいくつも存在します。
一方で、「念のため」と早めに相談された方は、警察や弁護士へのつなぎや証拠の確保がスムーズに進み、被害の拡大を防ぐことができた事例も数多くあります。
現時点で実害が出ていなかったとしても、「これは普通ではないかもしれない」と感じたなら、第三者に相談するなど何らかの対処を考えるべきタイミングです。
お悩みがある方は、当探偵事務所の24時間365日無料相談窓口までお気軽にお問合せください。