探偵という職業は「探偵業法」という法律で数々の規定がなされており、探偵業法に則った営業や調査を行なうことが定められています。
しかし、中には探偵業法に違反した営業方法や調査を行なう探偵も存在し、特に探偵業法で認められていない方法で取得した情報については証拠として認められなくなってしまいます。
このような法律違反をいとわない探偵事務所には依頼をすべきではなく、法律を遵守した運営と調査を行なう探偵に依頼するようにしましょう。
本コラムでは、信頼できる探偵事務所をどのような方法で選んだらいいのか、見分け方を解説していきます。
ニュースの概要|規定の書類を交付しなかった探偵事務所
2024年1月上旬ごろ、岩手県内で探偵を依頼した20代の女性に、あらかじめ法律で定められた事項を記載した書面を交付しなかったとして、34歳の男が逮捕されました。県内で、探偵業法違反で摘発されるのは初めてです。
探偵業法違反で逮捕されたのは、一関市赤荻の探偵業・阿部晃学容疑者34歳です。
盛岡東警察署によりますと、2024年1月上旬ごろ、県央部に住む29歳の女性に対して、探偵業務の内容や契約の解除についてなど法律で定められた事項を記載した書面をあらかじめ交付しなかった疑いが持たれています。
引用元:法律で定められた事項を記載した書面をあらかじめ交付しなかった疑い 探偵業法違反で34歳の男逮捕 岩手県内初摘発 | IBC NEWS | IBC岩手放送 2024年8月28日(水) 19:38
「探偵業法」とは?
探偵について規定された探偵業法の正式名称は「探偵業の業務の適正化に関する法律」で、探偵という仕事が適正に行なわれ個人の権利・利益の保護を目指す目的があります。
探偵に依頼をする前に、まずは探偵業法について少しでも理解を深めておくと探偵への依頼がより高い満足度となるでしょう。
探偵をやるには届出が必要
そもそも、探偵という仕事を始めるためには警察にまで届出をする必要があります。
探偵の仕事内容は、下記のように定義されています。
他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行いその調査の結果を当該依頼者に報告する業務
探偵と同じような仕事として興信所というものがありますが、興信所も探偵業法にて同じように規定を設けられています。
そのため、警察への届出なしに探偵業法で規定された業務を行なうことは法律違反となるのです。
ちなみに、出版社が報道のために行なう取材も探偵業法で規定されている仕事内容ではありますが、警察への届出なしで行なうことができます。
他にも、学術調査による分析や弁護士・税理士のように業務上必要な情報収集に関しても探偵業法の規制の範囲外です。
探偵が調査で知り得た情報は秘密厳守
探偵が調査によって取得したあらゆる情報には守秘義務が科せられ、依頼された調査に関係のない個人および団体の秘密を口外してはいけません。
この守秘義務があることで、依頼者は探偵に安心して調査を任せることができるともいえます。
もしこの守秘義務が破られて個人の秘密が漏れ出てしまったら、それは他者の権利を大きく侵害するだけでなく、探偵という存在の信頼性そのものを削ぐことになります。
そのため、探偵が調査で得た情報の取り扱いは極めて厳重です。
探偵業法が設けられている理由
なぜ探偵には探偵業法が必要なのでしょうか。
その理由としては、探偵という仕事が個人のプライバシーに大きく踏み込むものだからです。
個人のプライバシーに大きく踏み込む仕事
探偵業法において、探偵の調査方法として認められているのは聞き込み・張り込み・尾行になります。
これらの行為は実際誰でも簡単に行なえてしまいますが、言わば個人のプライバシーを知ったり大きく踏み込む行為になります。
実際、探偵業法で認められていない人物が張り込みや尾行を行なうと、ストーカー規制法に抵触して罰則の対象です。
また、探偵業が認められている人物であっても、依頼がないのに聞き込み・張り込み・尾行を行なうことも同じくストーカー規制法違反になります。
あくまで探偵業法で認められているのは、他人から調査の依頼を受けて行なう聞き込み・張り込み・尾行だけです。
そのため、依頼を受けたことを証明するために調査前には必ず依頼者と書類を交わし、依頼があることの証明とします。
個人のプライバシーを知り得てしまう行為が認められているからこそ、規制を設けることで探偵の行き過ぎた調査を防ぐのも探偵業法の目的です。
いたずらな新規参入を防ぐ
上述した探偵の調査方法である聞き込み・張り込み・尾行についてはその気になれば誰でもできてしまうため、いわば探偵の真似事は簡単に行なえるのです。
ですが、仮に探偵業に一切の規制がなかった場合、誰でも簡単に個人の秘密を調べることができてしまい、プライバシーというものは全く無くなってしまうでしょう。
その結果、他人の秘密を調べることを目的とした探偵事務所がいくつも生まれてしまうことになります。
隠し続けたかった秘密も簡単に明かされてしまい、他者の人生を大きく左右するほどの影響を与える可能性も大きいです。
そのような事態が蔓延することを防ぐために、探偵業法による規制が人々のプライバシーがいたずらに明かされることを防いでくれています。
悪質な探偵業者を避ける方法
大多数の探偵事務所が探偵業法を遵守して営業を行なっていますが、中には法律違反の行為を行なう探偵も存在しています。
そのような悪質な探偵業者に依頼しないためには、どのような点に注目して探偵事務所を選べばいいのかご紹介します。
探偵業届出証明書をチェックする
探偵が開業する前に警察へ届出を行ない、認められると探偵業届出証明書が発行され、開業できるようになります。
開業後は探偵事務所内やホームページ上で探偵業届出証明書の掲示が求められますが、ホームページと事務所で掲示される証明書の届出番号が異なる場合、名義貸しや証明書の偽造が疑われます。
他にも、そもそも見える位置から探偵業届出証明書が確認できない場合は定められた義務そのものを果たせていないため論外です。
届出という公的な手続きを行なわない探偵事務所には依頼をしないようにしましょう。
相談は事務所に出向いて行なう
無料相談を行なっている探偵事務所は多く、中には電話やメールだけで手軽に相談できる事務所もあります。
しかし、正式な依頼を前向きに考えるなら相談は現地の事務所まで赴いて行なうようにしましょう。
中にはホームページに記載している住所そのものがダミーで、探偵事務所としての実体が存在しない場合も考えられます。
このような探偵事務所は、調査にかかる料金の支払いを確認した後に雲隠れして、全く調査を行なわずにお金だけ持ち逃げする狙いもあるでしょう。
そのため、依頼を検討している探偵はできる限り事務所に直接向かって相談を行なったり、どうしても現地に行けない場合は出張相談などの対面形式で相談できる探偵にしましょう。
調査報告書のサンプルを見せてもらう
探偵に相談を行なう際には、調査後に依頼者に調査結果を伝達する調査報告書のサンプルを見せてもらうようにしましょう。
調査報告書によって依頼者は調査結果を知ることになりますが、その内容がずさんだと調査費用に見合った結果を得られたのか疑問が残ります。
写真の画質は鮮明か、調査対象の動向が事細かに記載されているかなど、徹底的な調査を行なってくれて充実した報告を聞ける探偵事務所であるかを見極めましょう。
料金の内訳を聞く
探偵への依頼にかかる料金は決して安いものではなく、数十万円もの費用がかかるケースはとても一般的なものです。
そのため、調査を依頼したり目的が達成された時の成功報酬の金額について詳細に聞くようにしましょう。
もし料金の説明が手薄だった場合、何かしらの名目で費用を追加して法外な金額を請求される可能性が考えられます。
相談の段階から料金の説明に透明性がある探偵事務所は、信頼性が高いといえるでしょう。
信頼できる探偵に調査を任せよう
探偵に調査を依頼するということは、プライバシーに深く関わる情報を預けるということでもあります。そのため、どんな探偵に任せるかは、調査結果の精度はもちろん、あなた自身の安心や安全にも直結する大切な判断です。
信頼できる探偵は、必ず探偵業法に則った正規の手続きを行い、契約内容を明示した書面を交付した上で、適正な方法で調査を行います。
また、依頼者の立場に寄り添い、調査中の連絡や報告、アフターフォローに至るまで、誠実に対応してくれるはずです。
一方で、違法な手段で情報を集めたり、契約前に詳細を説明しない業者は、調査そのものの信頼性に欠けるだけでなく、依頼者がトラブルに巻き込まれるリスクも伴います。
「ちゃんと調査してくれるか」「料金は明確か」「証拠として使える報告書がもらえるか」――こうした視点を持って探偵事務所を見極めましょう。
安心して依頼できる探偵を選ぶことが、問題解決への第一歩です。
当探偵事務所では、法律を遵守した適正な調査を行い、依頼者の不安に丁寧に寄り添うことを徹底しております。
まずは無料相談から、お気軽にご相談ください。どんな小さなお悩みでも、誠実に対応いたします。