2024年から2025年にかけて、東北地方のさまざまな企業で個人情報の流出が相次いでいます。
2024年7月には卒業アルバムを制作する宮城県仙台市の印刷会社から約17万件もの個人情報が流出。
同年9月には東北学院大学の職員用業務パソコンがサイバー攻撃を受け、学生3,490名分の個人情報が流出する被害が出ました。
さらに2025年6月には東北電力ネットワークの外部からは閲覧できない顧客情報管理システムが一時閲覧可能になってしまう事態も起きました。
このように、膨大な個人情報を抱える企業・学校・公共機関が流出被害に遭ってしまうと、その被害規模も併せて膨大になってしまいます。
個人情報の流出は企業・学校・公共機関の信頼性を損なうだけでなく、流出した個人情報を利用しての二次被害を招いてしまうでしょう。
対策のためには、個人情報流出がどのような手法によって行なわれ、どのような対策が必要なのかを知る必要があります。
この記事では、探偵の目線から個人情報流出の手口と取るべき対処法について解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ニュース概要|東北地方で相次ぐ個人情報流出被害
仙台市に本社がある印刷会社が2024年、サイバー攻撃を受け,卒業アルバムのデータが外部に漏えいした可能性があることが分かりました。 17万件を超える個人情報が漏えいした可能性があるということです。
引用元:【公表学校名一覧掲載】仙台の印刷会社がサイバー攻撃で卒業アルバムの氏名と写真 最大17万3000件漏えいのおそれ | 宮城のニュース│tbc NEWS│tbc東北放送 (1ページ)
2024年11月6日、東北学院大学は職員用業務パソコンが不正アクセスを受けたと公表。
学生や教職員、さらには外部の関係者の個人情報が流出した可能性が懸念されている。
2025年6月11日、東北電力ネットワーク株式会社は、自社が管理する顧客情報管理システムにおいて、一部のお客さま情報が本来閲覧できないはずの状態で東北電力の職員に表示されていた事象があったと発表しました。
引用元:東北電力ネットワーク、システムの設計不備で顧客情報が一時閲覧可能に|セキュリティニュースのセキュリティ対策Lab
個人情報流出の目的とは?
個人情報の取り扱いがどんどん厳しくなっている昨今ですが、そもそも個人情報を流出させる犯人はどのような目的を持っているのでしょうか。
明確かつ効果的な対策を実施するためには、まずその目的を理解しておく必要があります。
取得した個人情報の二次利用
サイバー攻撃などの手法で個人情報を取得し、また別の犯罪行為に個人情報を利用することが想定されます。
主に考えられるのは、下記のような被害です。
- 詐欺
- 誹謗中傷
- 取得した個人情報の売買
- 新たなサイバー攻撃への活用
- クレジットカード情報などの不正利用
特に個人情報の売買は件数が多ければ多いほど得られる収益も多くなる相場感となっていますので、よりたくさんの情報を握っている公的機関は非常に狙われやすいです。
また、多数の個人情報を取得して新たなウイルスなどによるサイバー攻撃をもたらし、大規模な被害を起こすこともあるでしょう。
よく起きがちなのがスパムメールの一斉送信で、身に覚えのない宛先からのメールが増えた場合、お使いのメールアドレスが誰かに取得されたことが原因と考えられます。
攻撃対象の社会的信用の損失
個人情報の取得が目的ではなく、流出が発生することによって攻撃対象に悪影響を与えることを目的としている場合があります。
もし個人情報が流出した場合、一番重たい責任は主犯側にあるのは明白ですが、被害を受けたのが大きい組織であればあるほど取得していた個人情報の取り扱いや管理に対する責任を問われる傾向が強いです。
顧客も情報の徹底した管理を約束されたからこそ個人情報を提供しているため、被害を受けた組織にはその信用を損なったことへの責任が問われます。
謝罪のみならず、時には顧客からの損害賠償請求を受けるケースもあるでしょうし、全員分の被害への賠償となるととんでもない金額を支払う必要が出てくるでしょう。
また、個人情報流出被害が公に報じられるようになるとその組織には個人情報を管理できない印象がつきまとうため、マイナスイメージの払拭にかなりの手間と時間がかかることとなります。
さらに、二度と同じ被害を受けないことと信用回復のためにサイバー攻撃への対策を一気に変える必要が生じ、そのためにも多額の費用がかかるでしょう。
このような流出にともなう二次的被害の方がダメージとして大きいと考えられる可能性も十分にあります。
個人情報流出の手口
時には数十万件単位もの被害になる個人情報流出ですが、どのような手口で行なわれるかを知ることで明確な対策が可能です。
想定される手口をまとめましたので、ぜひご参考ください。
サイバー攻撃
最も代表的な手口としては、多数の個人情報を抱える組織のWebサイトに対して攻撃を仕掛けるサイバー攻撃になるでしょう。
サイバー攻撃の内容も多岐に渡り、今回取り上げた東方地方の個人情報流出被害の多くで使われたのは「ランサムウェア」と呼ばれる攻撃手法になります。
ランサムウェア
不正プログラム(マルウェア)の一種で、パソコン内のデータを不正に暗号化し、元に戻すことと引き換えに身代金を要求する
こうしたランサムウェアを組織の管理者が使用するパソコンに送り込んで、個人情報を不正に入手しています。
ランサムウェアは身代金要求がメインではなく、データを不正に暗号化された時点で既にパソコン内部は全て見られたと判断していいでしょう。
例え身代金を支払ったところでデータ復元されない可能性も大いにあるため、むしろ警戒すべきは暗号化にともなう個人情報の閲覧・取得です。
むしろ、個人情報流出に注意を向けさせないための身代金請求だと考える向きもあるでしょう。
ソーシャルエンジニアリング
ソーシャルエンジニアリングとは、マルウェアなどの不正プログラムを用いたサイバー攻撃ではなく、より直接的な方法で情報を盗み出す手法の総称です。
例としては下記のような行為が挙げられます。
- 関係者を装って個人情報の閲覧を可能にする
- 廃棄処分された書類を漁って情報を盗み取る
- 隙を見てデータの記録媒体を盗み出して情報を抜き取る
ソーシャルエンジニアリングは直接的に個人情報に触れる機会の多い組織内部の人間にしかできないと思われがちですが、手法次第では外部からでも十分に行なえる攻撃手法です。
サイバー攻撃を完全に対策するためには、オンライン上の対策ではなくオフラインでの物質的な対策も重要だといえるでしょう。
内部の人間による流出
併せて警戒すべきなのは、内部の人間による個人情報の流出です。
人間である以上どうしてもヒューマンエラーが起きる可能性はあるため、故意ではないミスによって個人情報が流出してしまうということもあります。
ですが、中には明確な意図を持って故意に個人情報を流出させる内部の人間もいる場合があります。
さまざまな仕事において属人化はできる限り防ぎたいものですが、関わる人間が増えると多様な目的が入り込むため、時には良からぬ目的を持つ人物が混じることもあるでしょう。
個人情報流出で取るべき対策とは?
個人情報の流出被害はインターネットに接続して仕事をする以上どうしても付きまとい続ける問題です。
しかし、少しでも対策を手厚くすることで損害を防ぐことができるため、対策するに越したことはありません。
有効だと考えられている対処法をお伝えします。
サイバーセキュリティを最新にする
現在はさまざまなウイルス対策ソフトが発売されていますが、大きな組織であればあるほど多数の端末に導入する必要があるため、費用がどうしてもかさんでしまいます。
そのため、ある程度新しいウイルス対策ソフトをそのまま使用し続けてしまう組織は意外と多いです。
ですが、サイバー攻撃者側も技術革新を日進月歩で進めているため、当時最新だったセキュリティ対策ソフトもいつかは古くなり攻撃の的になってしまうでしょう。
余裕があるならセキュリティ対策を常にアップデートし続けて、進化を続けるサイバー攻撃への対策を充実させましょう。
また、仕事で利用するソフトが攻撃されるパターンもあるため、こうしたソフトも最新版がリリースされたらこまめに更新するのがおすすめです。
個人情報へのアクセス権限を制限する
組織内で個人情報を取り扱う場合、その情報にアクセスできる人間はできる限り減らした方が外部流出のリスクを軽減できます。
その他にも、近年テレワークが拡大していますが社外では個人情報にアクセスできないなどの対策を施すことも流出対策には有効です。
内部からの流出にも徹底的に対策することで、サイバーセキュリティ対策をより完全なものに近づけられます。
個人情報流出は探偵に相談しよう
サイバー攻撃や内部不正による個人情報流出が起きたとき、「もうどうすることもできない」と諦めていませんか?
実は、流出後の被害拡大を防ぐためには探偵による専門的な調査・対策が有効なケースもあります。とくに、自分の情報がどこで・どう悪用されているのか不明な場合には、第三者の視点から状況を客観的に把握することが重要です。
探偵ができる調査・対応例
当探偵事務所では、以下のような実用的かつ秘密厳守の調査・対応をご提供しています。
■ 名簿・リスト流出の確認調査
- 怪しい業者からの営業電話や、身に覚えのないDMが届くようになった…
→その場合、名簿業者やリスト業者に自分の情報が出回っていないかを確認します。
■ SNS・掲示板・ダークウェブでの拡散調査
- ネット上で自分や顧客の個人情報が公開されていないか
→匿名掲示板や海外のデータ流出サイト、検索に引っかからない領域(ダークウェブ)まで含めて徹底調査します。
■ 情報流出の経路特定サポート
- どのサービスや誰から情報が漏れたのか?
→アクセス履歴や行動パターン、登録履歴などから流出経路の推定を行い、再発防止にもつなげます。
■ 拡散データの削除依頼や掲載取り下げ支援
- 画像・住所・電話番号などがネット上に晒されていた場合
→削除交渉や運営元への通報支援など、法的リスクを踏まえた対応をサポートします。
■ 不審な連絡・迷惑行為の発信源調査
-
知らない番号からの着信、しつこい営業、嫌がらせのようなDM…
→発信元の電話番号や差出人情報の特定を通じて、適切な対処が可能になります。
■ セキュリティ対策のアドバイス
- 今後、同じような被害を防ぐには?
→探偵の視点から、情報管理やネット上でのリスク回避方法についての実践的なアドバイスも行います。
探偵に相談するメリット
企業の管理責任やIT部門では対応しきれない部分——たとえば、漏れた情報が誰の手に渡ったか?何に使われているか?といった調査は、中立的かつ調査力のある探偵だからこそ追える領域です。
また、「警察や会社に相談するにはハードルが高い」「周囲に知られたくない」というケースでも、匿名・秘密厳守で対応可能です。