自分自身が亡くなる前から身の回りの持ち物や財産を相続に向けて整理する「終活」は、高齢化が進む日本において重要度が非常に高まってきています。
相続・終活の専門機関が実施した調査によると、終活を行なっている人の割合は全体の21.2%で、都道府県別で見ると宮城県がもっとも多い29.3%を記録しており、その他の項目でも全体的に東北地方が終活に積極的な傾向を表す結果となりました。
しかし、相続人となる親族たちが納得できる形で相続が進まないと、相続をきっかけにして親族同士の争いにまで発展する「争続」化の状態になってしまいます。
このようなトラブルの発生を避けるためには、相続を単独で進行しようとせずに専門機関からの協力も得ながら進めていくことが重要です。
時には探偵のような調査の専門機関に依頼することで、親族も把握していなかった隠し財産を見つけ出して余計な相続税の支払いや借金返済の可能性を消すことができます。
この記事では、「争続」になり得るトラブルの種類や相続に向けて専門機関と連携を取る必要性を解説します。
ニュース概要|都道府県ごとの終活傾向は東北地方が上位を占める
都道府県別で終活の実施状況を分析しました。その結果、1位:宮城県(29.3%)、2位:福島県(28.2%)、3位:秋田県(28.0%)と東北地方の3県が上位を占め、3割近くが終活を行っていることがわかりました。
四大都市圏にあたる一都三県(東京・埼玉・千葉・神奈川)、中京(愛知)、関西(京都・大阪・兵庫)、北九州(福岡)の9都府県でベスト20に入ったのは京都(15位)だけでした。
引用元:相続・終活に関する全国調査2025 結果発表第1弾 ~都道府県ごとの終活傾向 東北地方が上位を占める~ – 株式会社ルリアン
「争続」の原因は何なのか
相続をめぐって親族同士が争う「争続」はできる限り引き起こしたくないものではあります。
しかし、どのような状況だと「争続」となりやすいのか、その原因となり得る要素は把握しておくことで対策を進められます。
親族同士の仲が悪い
そもそも親族同士の仲が悪いと、お金が絡む相続の話となったらさらなるトラブルの引き金になる可能性は高まるでしょう。
遺産相続の際には、法律上相続を受ける権利がある法定相続人同士で遺産の分割について協議する必要があります。
しかし、仲が悪い親族だとこの分割協議が非常に難航する傾向にあり、場合によっては5年10年が経っても協議が決着しないということも十分にあります。
このような場合は、親族同士の間に割って入れつつ、他の親族が誰も関係していない第三者として専門機関を入れて話し合いを行なうことでスムーズに協議が進む期待が持てるでしょう。
複雑な家庭環境
親族の仲の悪さとも関係する要素ですが、家庭環境が複雑だと親族としての結びつきも希薄になるため、円滑な遺産相続の進行に至らない可能性が高まります。
例えば被相続人(故人)が離婚によって再婚した相手と子どもまで作っていた場合、離婚した元配偶者に相続の権利はありませんが元配偶者との間の子どもは相続の権利を持ちます。
その場合、元配偶者との子どもは死別まで一緒にいた配偶者と子どもとの分割協議を行なわなくてはならず、この協議がトラブルに非常に結びつきやすいです。
これまで何の結びつきもなかった人がいきなり親族の立場でやって来て、遺産を分割して欲しいという話に簡単には納得できない心情は想像に難くありません。
しかし元配偶者の子どもに相続の権利があることも事実なので、遺産分割の協議はどうしても行なう必要があります。
このような場合でも、専門機関が間を取り持つことで分割協議が滞りなく進行する可能性が高まるでしょう。
遺産に不動産が含まれている
遺産の分割において、現金や物品などの動産であれば分け合うことで協議はすぐに完了することが多いです。
しかし、遺産の中に不動産が含まれていることは「争続」化に向かいやすい要因だといわれています。
誰か一人でも遺産となる不動産を利用している場合だと、分割が一気に難しくなるでしょう。
例えば被相続人(故人)の子どもが3人いた場合、被相続人の持ち家に一人の子どもが住んでいた場合、相続のために転居を求めることも難しいため分割しての取り扱いができなくなります。
居住者が退去の意思を示せば売却などによって分割相続が可能になりますが、家を手放したくないという意思を示すと家の取り扱いをめぐったトラブルになりやすいです。
相続財産が少ない
そもそもの相続できる財産が少ない場合、少しでも多くの財産を得ようとする意図が絡み合ってトラブルになってしまう可能性が高くなる傾向にあります。
多くの財産が残されているなら、それを元手にして相続人全員がある程度納得できる形で分割協議を決着させやすいです。
しかし、例えば被相続人(故人)の主だった財産が持ち家のみでそこに配偶者が今後も住み続ける場合、預貯金の金額が少ないと誰もが少しでも多くの金額を相続したいと躍起になってしまいます。
その結果、「争続」の状態にまで至ってしまうことがあるので注意しましょう。
介護をしていた相続人がいる
被相続人(故人)の介護などで身の回りのお世話をしていた相続人がいる場合、その相続人は遺産となり得る財産の維持に貢献した見返りとなる「寄与分」の受け取りを主張してより多くの割合の遺産相続を求めることが可能になります。
この寄与分の存在が遺言書にて記載されているなら話はスムーズに進みますが、そうでない場合は他の相続人としては寄与分を認めることで自らの取り分が減ってしまうため、簡単には首を縦に振らない可能性が高いです。
そのため、寄与分に関する主張については裁判にまで持ち込まれるケースもあります。
相続人が遺産を隠している・特別受益があった
生前に被相続人(故人)の財産を管理していた相続人がいる場合、その相続人が遺産分割を見越して一部の財産を隠し持つという場合も十分にあります。
もし口座から多額の金額が引き出されていることが判明しても、「頼まれた」などの言い訳をしても当の本人が既に故人となっているため、真相を聞き出すことができません。
このようなお金の存在が見つかった場合は使途不明金として、裁判にまで発展する可能性もあります。
また、被相続人(故人)の生前に贈り物や婚姻に伴うお金の受け取りなどがあった場合も特別受益として遺産の総額に影響していると協議の際に槍玉に挙げられることもあるでしょう。
遺言状の内容に納得しない
被相続人(故人)が相続に関する意思を記した遺言状の内容に納得しようとせずにトラブルを起こす相続人も中には存在します。
例えば遺言状作成時に被相続人(故人)が認知症などの病気であった場合「本人に書面が作れるとは思えない」「無理やり書かせたのか」といった言葉によって遺言状の内容を否定しようとしてきます。
このようなケースの発生を阻止するために、遺言状は公正証書遺言として第三者の証人を立てて作成できる形式を取るのがおすすめです。
遺産相続で専門機関と連携するメリット
さまざまなきっかけから「争続」が発生する可能性がありますが、公平性のある遺産相続を実現するには専門機関との連携がおすすめです。
遺産相続において専門機関と連携を取るメリットを紹介します。
遺産の全容を調査できる
調査能力のある専門機関であれば、遺産の分割協議に入る前に被相続人(故人)の持ち合わせる遺産のすべてを第三者視点から調べ上げることが可能です。
隠し資産の存在なども調べておくことで、相続人同士が知らない財産がない状態で分割協議を始めることができ、透明性のある協議が実現できるでしょう。
また、借金など負債の存在も明らかにできるため、適切なタイミングで相続放棄を行なうことで余計なものまで相続する心配がなくなると考えられます。
相続人についても調査ができる
特に探偵であれば、法定相続人としての権利を持つ人が他にいないかまで調べ上げることができ、突然見知らぬ人が相続の権利を主張することによるトラブルを回避できます。
また、相続人それぞれの財産状況であったり寄与分が発生しないかまでクリアにして、円滑な遺産分割協議を実現可能です。
もし相続の優先順位が高い親族の所在がわからない場合であれば、居場所を調べ上げた上で相続放棄の手続きまで進行できます。
遺言状の有効性も調べられる
被相続人(故人)が書いたとされる遺言状も、果たして本当に被相続人本人が書いたものであるかについても探偵なら調査が可能です。
しっかりと公正証書遺言として作られたものかの調査や、遺言状の偽造・変形の形跡がないかまで調べて有効性のある書類であるかを調べます。
正式に遺言状としての有効性を示すことができれば、遺言状にまつわるトラブルを回避してさらにスムーズな遺産分割協議を実現できるでしょう。