「愛している恋人に頼まれて金銭を渡したら、そこから連絡が途絶えてしまった……」
それは恋愛詐欺かもしれません。
恋愛詐欺にはデート商法(恋愛感情を悪用して高額商品やサービスの契約を締結させる悪徳商法)、国際ロマンス詐欺(インターネットで知り合った海外の異性と親密な関係を築き金銭をだまし取る詐欺)、結婚詐欺(結婚するつもりがないにも関わらず、相手を騙して金品を奪う詐欺行為)などが挙げられます。
その手口は年々巧妙になっており、お金を払ってから気づくなど、泣き寝入りするケースも増えています。
この記事では、恋愛詐欺の典型的な手口から、その見分け方、万が一被害にあってしまったときの対処法まで詳しく解説していきます。
どこからが恋愛詐欺?
刑法上では恋愛詐欺という名称の犯罪は明記されていません。
しかし、恋愛詐欺は詐欺罪の手口のひとつにあたり、詐欺罪が成立すれば、処罰の対象になる可能性があります。
詐欺罪が成立する要件
詐欺罪が成立するのは、以下の5つの要件です。
1.欺罔(ぎもう)行為
「交際を続けたいけど、多額の借金があるから難しい……」
「大病を患ってるから、治療費が必要なの」
などといって、故意に嘘を伝え、相手を騙します。
日本の民法や刑法において、欺罔行為は不法行為のひとつとして扱われることもあります。
2.相手方の錯誤(さくご)
「恋人の力になりたい!」
「あの子が助けを求めてるんだ」
など、錯誤とは詐欺犯に騙されている状態を指します。
欺罔行為を受けた被害者が錯誤に陥っていることが、詐欺の要件として必須になります。
3.処分行為(財産上の利益の移転)
「このままだと交際を続けられない……」
「じゃあ私が負担するよ」
詐欺罪における処分行為とは、金品を渡すことです。
被害者自らが金品を渡すことによって、処分行為は成立します。
4.財物・利益の移転
「これ、〇万円ね」
「ありがとう!これで救われる!必ず返すからね」
財物とは有体物(現金や物品など)を指し、利益は経済的利益、損害の軽減、権利の取得などを指します。
欺罔行為によって被害者が錯誤し、自身の財物を相手に譲渡・引き渡したり、被害者が持っていた利益や権利を相手に譲渡させることによって詐欺罪は成立します。
どちらか一方があれば詐欺罪は成立しますが、両方が同時に起きる場合もあります。
5.財産的損害
「もう貯金も底をついた……。恋人とは連絡が取れない……」
厳密には詐欺罪の公正案件ではないのですが、被害者が本来有していた財産的価値や利益が侵害され、その結果として経済的な損失を被ることもあげられます。
また、価値の減少や利益の喪失も含まれるのです。
つまり、持っていた金銭が不当に取り上げられることだけでなく、被害者が本来得られたはずの利益を奪われたり、財産の価値が減少する場合などが詐欺罪に該当します。
以上の5つの要件に当てはまっていると、恋愛詐欺は詐欺罪として裁かれることになります。
恋愛詐欺の手口|甘い言葉と巧妙な罠
恋愛詐欺師は、SNS(Facebook、Instagram、Xなど)出会い系サイト、マッチングアプリなどでターゲットを探します。
特に、離婚経験者、経済的に余裕のある人、寂しさを抱えている人などが狙われやすいです。
また、海外送金がしやすかったり、特定の職業に就いている人を、恋愛詐欺師たちは狙う傾向があります。
その手口を解説していきます。
出会いから信頼関係の構築
毎日連絡やメッセージを送り、相手の生活に入りこみます。
ロマンチックな言葉や深い共感を示し、短期間で親密な関係を築こうとするのも特徴です。
「君こそが運命の人だ」
「あなたしかいない」
など、相手を特別扱いする言葉を多用します。
親密な関係の構築と秘密の共有
自分の過去の辛い経験を打ち明け、秘密の共有をすることで親密さを深めます。
また、同棲・結婚・一緒にビジネスを始めるなど、具体的な将来の計画を語り、相手に期待感を持たせるでしょう。
「これはあなただけの秘密だよ」
「他の人には言わないでほしい」
などと言って、関係の特別感を演出し、被害者が周囲の人間に相談することを防ごうとします。
金銭要求
緊急事態の演出を行い、病気、事故、事業の失敗、訴訟問題など、喫緊でお金が必要な状況を作り上げます。
最初は少額から要求し、段々と金額を増やしていきます。
また、送金方法を指定してくるのも特徴であり、特に海外送金、仮想通貨、プリペイドカードなど、追跡が難しい方法で送金を要求します。
関係の維持と逃亡
一度送金してしまうと、「もう一歩でお金が手に入る」「トラブルが解決する」などと偽り、さらなる送金を執拗に要求します。
時には、別の人物(弁護士、銀行員、税関職員など)になりすまして連絡してくることもあります。
そして、被害者がお金を使い果たしたり、詐欺に気づいて送金を拒否したりすると、パッタリと連絡が途絶えます。
ブロックされたり、アカウントを削除されたりして、音信不通になることがほとんどです。
恋愛詐欺の見分け方
巧妙に人間の心理につけ込む恋愛詐欺師ですが、その行動には特有の動きがあります。
恋に溺れないよう、それらの兆候に鋭敏になる必要があるでしょう。
不自然な要求や早すぎる親密さに注意
恋愛詐欺師は、コンタクトをとってすぐに親密さを演出します。
「こんなに話が合うのはあなたがはじめて」
「一生そばにいて、幸せにしたいよ」
などと、距離が詰まりきっていないのにも関わらず、甘い言葉を吐きます。
その言葉に惑わされることなく、相手の真意に目を向ける事が必要でしょう。
距離を詰め、あなたを精神的に依存させてから、金銭や金品の要求をするのです。
そのころには「なにかおかしい」と思うこともなく、「恋人の力になりたい」と自発的に金銭のやりとりをしてしまうことになります。
個人情報を聞き出してくることへの警戒
こちらの個人情報ばかりを聞き出してくる人にも要注意です。
顔写真を要求してきたり、どこのエリアに住んでいるか、職業、年収などを聞き出してきたりします。
このような情報は新たな詐欺グループに共有され、詐欺による被害回復を謳った者たちにさらに金銭を巻き上げられます。
警察や、消費者センターなど、国の公的機関であると偽る者から「詐欺被害にあったことがありますよね?過去の詐欺被害の補償として、返金手続きをしますので手数料を支払ってください」
などと言われ、騙されてしまうのです。
こういった二次被害にあわないためにも、個人情報の取り扱いには十分に注意しましょう。
怪しいプロフィールや言動の特徴
完璧すぎる容姿の写真・非現実的なプロフィール・曖昧な経歴、などこういった特徴は警戒すべきでしょう。
恋愛詐欺の場合、使用する画像は他のSNSから盗ってきたきた画像であることが多いです。
そして、経歴を詐称し、別人を装います。
やり取りをしているのはあなただけではない可能性が高いため、アップされている経歴と相手が話しているエピソードには齟齬が現れることも。
また、マッチングアプリや出会い系サイトから、LINE・メールなど、外部の連絡手段へすぐに移行しようとするのも特徴です。
これは、アプリ側の監視の目を逃れるための行動になります。
万が一被害にあってしまったら
万が一被害にあってしまった場合、どのような対応をすれば良いのか、丁寧に解説していきます。
証拠の保全
相手とのやり取りをすべて記録しておきましょう。
メッセージ、メール、通話履歴、SNS、送金記録(銀行振込明細、クレジットカード明細、仮想通貨の取引履歴)などをスクリーンショットで保管。
日時、内容、相手の言動などを詳細に記録します。
相手からもらった手紙や、プレゼントなども保管しましょう。
また、詐欺の手口、相手との関係、お金を要求された経緯なども時系列で整理するとなお良しです。
証拠は警察や相談機関に相談する際に役立ちます。
消費生活センターへの相談
少しでも疑わしいと思った場合、消費者ホットライン#188番に電話をすると、適切なアドバイス・情報提供などをしてくれます。
場合によっては、消費生活センター等に来てもらい、さらに詳しく話を聴いて、トラブルの相手である事業者との交渉の手伝いをしてくれます。
そして、弁護士や福祉関連など専門の相談機関への相談が適している場合には、適切な窓口を紹介したりするなど、トラブル解決のための支援を行います。
警察への相談
警察相談専用電話として、#9110番が設置されています。
また、警察にはサイバー犯罪相談窓口もあり、こちらはオンライン受付窓口が設置されています。
証拠をそろえて、詳細な経緯を説明することが重要です。
ただし、被害届を出すことで捜査が開始される可能性はありますが、金銭がかえってくる可能性は低いでしょう。
警察の捜査によって、相手が逮捕・起訴され、裁判で有罪となれば処罰を与えられますが、騙されたお金が自動的に返金されるわけではないからです。
金銭的被害を回復するためには、刑事手続きとは別に民事上の返金請求を行う必要があります。(警察は民事不介入です)
探偵に依頼する
詐欺師の身元が分からないケースだと、警察は捜査に踏み込めない場合があります。
多くの詐欺師は、足がつかないように氏名や社名、住所を偽っています。
相手の素性も行方もわからない場合は、捜査が難航する場合も。
探偵は、警察の捜査に必要な証拠集めも請け負います。
探偵ができるのは、以下のような調査です。
-
恋愛詐欺師の身元特定
-
過去の詐欺行為の調査
-
恋愛詐欺師の資産状況の調査
-
恋愛詐欺師の行動パターン、交友関係調査
-
詐欺に関する証拠の保全
証拠集めから、警察や弁護士への橋渡しまで一貫してサポートできます。
また海外案件に強い探偵事務所であれば、警察がなかなか手出ししにくい海外を拠点とした詐欺にも対応します。
当探偵事務所はWAD(世界探偵協会)に加盟しており、多言語対応可能なスタッフも多く在籍しているため海外での詐欺被害調査が可能です。
恋愛詐欺かも?と思ったら
恋愛詐欺は、人の心につけ込んだ卑劣な詐欺行為です。
疑わしいと思っても、信じたい気持ちがその行動を止めてしまうかもしれません。
しかし、本当にあなたを想っているなら、どんなに困っていても金銭や金品をせびるようなことはしないでしょう。
少しの違和感が、あなたを守ることに繋がります。
当事務所では、24時間365日、無料相談窓口にて相談を受け付けていますので、ぜひ一度ご相談ください。